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暫くして跡地は大きくくぼみ、地面は溶岩のように真っ赤に染まり陽炎が立ち上る中、 フェイトの姿を確認する事は無くエリオの遺体も確認出来なかった。 「焼却処分と言ったところか」 レザードは高笑いを浮かべ自分の行動を賛美している様子を見せている中、 次々に部下がやられていく様を見ていたはやては恐怖にうち震えていた。 一瞬まさに一瞬の出来事、手を貸す事も割って入る時間も出来ない、そしてレザードの殺意がはやての動きを鈍らせていた。 「何が部隊長や……」 部下であるエリオがあんな目に遭っているのに肝心な時に動かないこの体、歩くロストロギアと呼ばれた自分が何も出来ていない、こんな惨めな事は無い。 そんな不甲斐なさが仲間の死がはやての心を揺さぶる、だがそれでも体が動かない。 ―――お願いや!動いて私の体!!――― 必死に願を掛けるように自分を奮い立たせ恐怖心と戦い、報われ始めたのか徐々に体が動き始める。 そしてはやてはリインとユニゾンを行い魔力を高め足下にミッド式目の前にベルカ式の魔法陣を広げた。 一方ではやての動きに気が付いたレザードは不敵な笑みを浮かべ見上げると足下に魔法陣を張り右手を向ける。 すると其処に黒い球体が姿を現し徐々に大きくなり中では稲光が多数走っていた。 「響け、終焉の笛!ラグナロク!!」 「フッ…グラビティブレス」 撃ち放たれたグラビティブレスとラグナロクがぶつかり合い鍔迫り合う中、徐々に均衡が崩れ押され始めるはやて。 現在はやてが放つラグナロクは夜天の書のページを使い相当な威力を高めた代物、 だがそれでもレザードの魔法には対抗出来ず押されてしまうのが現状であった。 「フッフハハハハ!!消えてし―――」 言葉に割って入る桜色の直射砲がレザードを捉え、流石に驚き直射砲が放たれた方向へ目を向けると 其処にはなのはが息を切らしながらもレイジングハートを向けている姿があった。 なのはは先日の地上本部での戦いで心身ともに疲弊し立つ事がやっとの状態、 それでも戦場に赴いたのはヴィヴィオを助け出す為…であったのだが、今はレザードに対する憎しみで立っている状態であった。 ヴィヴィオは幼く記憶も定かではない、だからこそ守る者が必要、それを買って出たなのはだが 現実は残酷でヴィヴィオは連れ去られ鍵として長らえる事になった。 それもこれも…あの時ヴィヴィオを守れなかった自分のせい…そしてヴィヴィオを連れ去った奴のせい… 「レザード・ヴァレス!貴方を許さない!!」 体は既にボロボロ…だがそれでも奴をレザードを倒したい一心でブラスターシステムを起動、 一気にブラスター3まで発動させ、なのはの周りにはブラスタービットが四基現れその全てが収束を行っていた。 「チャージなどさ―――」 「迎撃なんてさせない!!」 レザードはなのはに向けてグングニルを飛ばそうとしたところ無数の魔力弾に苛まれる。 その方向にはメルティーナが杖を向けておりカートリッジを一発使用する度に二十を超える魔力弾を発射させていた。 「チッ!うっとうしい!!」 次の瞬間グングニルがメルティーナの心臓を貫き更に乱雑に回転、 一瞬にしてなます切りにされ叫ぶ声も無くボトボトと鈍い音を立てて崩れていくメルティーナ。 そんな中――― 「龍騎召喚………ヴォルテェェェェェェル!!!」 現れたのは上空で召喚を果たしたキャロのヴォルテール、しかも既に臨戦状態のようで合図があればいつでも攻撃を仕掛ける事が出来た。 その頃はやては夜天の書のページを更に使用、ラグナロクの威力を高め手に持つシュベルトクロイツに無数の亀裂が走っていた。 だがその甲斐があってかグラビティブレスを打ち破り、それが合図になってなのはとキャロが一斉に攻撃を仕掛ける。 「全力全開!!スタァァライトォォブレイカァァァァ!!」 「ヴォルテール!!ギオ・エルガ!!!」 放たれた必殺の一撃に加えはやてのラグナロクも混ざり、その威力は街を一瞬にして吹き飛ばしかねない強力なものとなった。 そしてそのエネルギーは上空へと向けられ巨大な光の柱と化しその後に爆発、巻き上げられた粉塵はその場にいる者全てを覆い隠した。 「ハァ…ハァ……やった…の?」 なのはは誰に言うでも無く疑問に満ちた独り言を呟く、レザードは物質魔法その両方が通じない存在、 そして…これだけの魔法を受けても耐え抜いたとしたら、それはまさに悪魔の一言である。 暫くして粉塵が落ち着き始め周囲の物陰を確認する事が出来る頃、 軋む体に鞭を打ちながら歩くなのは、すると其処に人影らしき物が現れ警戒すると、其処にははやての姿があった。 「はやてちゃん!!」 「なのは!無事やってんな!!」 お互いの生存を確認し喜び合っていると辺りに獣が絶命したかのような激しい唸り声が響き渡り その方向に目を向け上空であることを確認すると、突然液体らしき物が頬に付き手に取ると、ぬるぬるとヌメリを持っていた。 「これって……」 「血や!!」 液体の正体に気が付き二人は上空へと飛び立ち粉塵を突き抜けると、 其処にはファイナルチェリオによって背中から串刺しになっているヴォルテールと、 グングニルを腹部に受け口元から血を流すキャロの姿があった。 「き…キャロ!!」 なのはの叫びも空しく一切答える事の無いキャロ、恐らくは即死であったのであろう、 そして…そんなキャロに目を背けるなのは、するとレザードは不敵な笑みを浮かべ見下す。 「先ほどの攻撃…中々だ、だが我には移送方陣がある事を失念していたようだな」 あの一斉攻撃を受ける手前、移送方陣にて遥か上空へと移動し粉塵が届かぬ場所で見下ろし ヴォルテールの肩に乗るキャロの姿を目撃するや否やファイナルチェリオを撃ち放ち、更にグングニルを投げつけたのだという。 「両方とも即死…呆気ないものだ……」 「アンタっちゅう奴は…何処まで命を馬鹿にするんや!!」 みんな必死に生きている、命は大切なもの、なのにレザードはそれをいとも簡単に奪っていく。 罪悪感も殺意も無くただ淡々に…咲いた花を摘むように命を刈り取っていく。 「自分神にでもなったつもりか!!」 「つもりではない…神なのだ」 愚神オーディンの力と魔力、賢者の石が齎した魔術に知識、この世界においては技術や情報などを得た。 今のレザードに出来ない事は無い、魂も肉体も記憶のコピーによる精神の復元も世界の創造すら可能、 このような者を神と呼ばずしてなんと呼ぶ…三賢人のような紛い物ではなく真に神と呼べる存在。 「何なら今この場で死んだ者を生き返らせてやろか?」 魂を持つ者であればレザードはエヴォークフェザーと呼ばれる蘇生術にマテリアライズも可能である、 無くとも肉体を再生させる事も可能であると含み笑みを浮かべるレザード。 この言葉を聞いたはやてはカリムの予言の一文を思い出す。 …歪みの神…レザードの歪んだ心、強大な魔力、まさに名を体で現した存在、 神…そんな存在とどう太刀打ちすればいいのか、そして予言は覆す事は出来ないのではないか… はやては暗く落ち込む表情を浮かべている頃、レザードはゆりかごとの連絡に勤しんでいた。 現在ゆりかごは順調に月の軌道ポイントへの進路を順調に突き進み、暫くすれば衛星軌道上まで到達するとのことであった。 つまりこれは計画が終了に近付きこれ以上彼女達に関わる必要が無いという事を指し示す。 それを見計らったレザードは自らの意志で使用する事を禁じた魔法の一つを発動する為、足下に魔法陣を張ると、 魔法陣は一気に広がりを見せ中央区画全地域は環状の魔法陣が帯のように幾重にも張られているドーム状の結界に包まれた。 カオティックルーン、この結界の中にいるだけで身体能力を20%減少させる強力な結界魔法である。 「本来貴様等に見せる必要は無いのだが、折角だ…神の力という物がどれほどの物か見せてやろう!!」 続いてレザードは広域攻撃魔法に使用する多重環状魔法陣を足下に張り 右手を天にかざし詠唱を始め、その姿をただただ見つめるなのはとはやて。 「我招く無音の衝裂に慈悲は無く…」 辺りはレザードが放つ白金の光に包まれなのは達は右手で光を抑えながらもレザードを見つめ怯えていた。 そしてレザードから放たれた光は次元海にまで及び、続いて光を中心に移送の魔法陣が7つ張られ光が手を伸びていた。 「汝に普く厄を逃れる術も無し!!」 すると魔法陣から直径数十メートルの巨大な隕石を呼び出す、 そして隕石が一つずつ引き寄せられるようにしてミッドチルダに落下、なのは達の下へ迫っていた。 「さぁ!神の力を堪能するがいい!!メテオスウォーム!!!」 上空から姿を現す七つの隕石、それは摩擦熱により真っ赤に染まり轟音が辺りに響き渡り地上に激突、 降り落ちた隕石の周囲は激しい爆音と衝撃が走り、周囲を吹き飛ばし地上は荒れ果て七つの巨大なクレーターが生み出されていた。 そんな光景にレザードはゆっくりと地上に降りる、瓦礫と化した街並み木々も根元から吹き飛びその威力を物語っていた。 「我ながら中々の威力ですね」 レザードはカタストロフィを解除し左手にネクロノミコンを携え周囲を見渡す。 とその時である、ゆりかごにいるスカリエッティから吉報が入り、 内容を確認しているところ、瓦礫が崩れる音を耳にしレザードは目を向ける。 すると其処には白いバリアジャケットを赤く染め髪を結うリボンは消滅し、 額から血が滴り落ち右目を覆い隠し左腕と共にデバイスを無くしたなのはの姿があった。 「ほぅ…辛うじて生きていたか」 流石のレザードも驚きの表情を隠せない、何故ならレザードが放ったメテオスウォームは常人では立つ事…いや跡形も無く消え去る程の威力を持っていたからだ。 それに耐え抜いたには訳がある、メテオスウォームが直撃する前なのははオーバルプロテクションにて身を守る用意をしていた。 だがなのはの前にはやてが立ちふさがり夜天の書の魔力を全て使い込み強力な防御障壁を張り巡らせたのである。 「はやてちゃん!!」 「これは私の意地や!これ以上部下の死を見たない!!」 自分の目の前で次々に友が仲間が部下が死んでいった、これ以上の死は見たくない! そしてこれ以上部下を仲間を友を死なせる訳にはいかない! はやての意地、それはメテオスウォームを四発弾き周囲に着弾させたが、五発目にて亀裂が生じ 六発目では完全に崩壊、辛うじてなのはに当てることはなかったが既に最後の七発目が迫っていた。 「はやてちゃん!これ以上は!!」 「だったら私がなのはの盾になる!!」 すぐさまなのはに抱き付き強く…力強く抱き締め身を守った。 背には真っ赤に燃えた隕石が迫りなのはは覚悟を決めた頃、なのはの意識はそこで途絶えた。 …次に意識を取り戻したのは瓦礫の中、必死に瓦礫から抜け出そうとレイジングハートを起動させようとするが 違和感を感じふと目を向けると左腕を失い夥しい血が流れていた、この時になのはは左腕を無くした事に気が付き、 また命があったのは、はやてが命を懸けて守ってくれた為であると理解する。 「はやてちゃん…自分が死んじゃったら駄目だよ」 一人ぼそりと言葉を口にするなのは、友を無くしたくない一心で守っても、死んでしまえば友を無くした事と同義 はやては自分が望まない事を友に押しつけただけだったのかも知れない、それが本人自身が望んでなくても… その後なのはは傷口に簡易な治癒魔法を施し血だけを止め、瓦礫を右腕一本で退かし表に出て現在に至る。 「レザード……貴方…だけ…は……」 「虫の息…といった状態ですね、ですが此方には貴方と戦う理由がもう…ありませんので」 「それは…どう…いう事……」 なのはの問い掛けにレザードは眼鏡に手を当て不敵な笑みを浮かべ説明を始める。 …たった今入って来た情報によればドラゴンオーブによる次元跳躍攻撃により本局は崩壊、 それを皮切りに次々に支部を破壊し回りドラゴンオーブを破壊する為に派遣された隊も 派遣される度にイージスとミトラの手により壊滅され、今し方最後の支部の破壊を終え管理局は崩壊したとの事であった。 「そ……そんな………」 「貴方がいた管理局は…もう無い」 そして管理局員でも何でもない只の怪我人を相手にする程暇では無いと断言、 だがなのははレザードの言葉が信用出来ず何度も否定を繰り返し、その痛々しい姿にレザードはモニターを開き現実を見せる。 其処には破壊された本局、管理世界に設けられた施設、無人世界に存在する軌道拘置所などが次々に映し出され ドラゴンオーブの軌道上には無数の次元船の残骸が浮き中には人の姿もあった。 「これで理解出来たであろう…管理局は壊滅したのだ」 「あ…………あぁ……………」 なのははレザードに突きつけられた現実を目の当たりにし力無く膝をつき、 その反応に不敵な笑みを浮かべマントを翻し移送方陣の準備を始めるレザード。 …あとは計画の最後を飾るだけ…既に邪魔者は存在しない、有意義に事を進められる。 暫くして…足下に五亡星の魔法陣を張り準備を終えるとなのはに目を向けた。 「此処で自分の無力さを噛み締めてなさい…」 レザードはなのはにトドメを指すこと無く移送し、なのはは一人残された。 …辺りは無音、時々吹く風が耳をざわつかせ髪を揺らす、賑やかであった街並みは崩れ瓦礫と化し大きな爪痕を残していた。 何もない、誰もいない…全ては終わった…何もかも失った…友も仲間も部下も愛する者も…そして相棒も… 全ては夢…そう考えたい、だが失った左腕の傷がそれを許してくれない。 現実を直視出来ない、己の無力を呪いたい、己の無能さに腹が立つ、自分の弱さに打ちひしがれる。 折れる…心が、自分を形取る、自分を支える、自分の中に確かにあった中心、不屈の心が…… 「ぅ…………うぅ…………」 前のめりでうずくまり、静かに涙を零し酷く矮小な自分を噛み締め誰も耳にする事が無い小さな声で泣く… 静かに…ただ静かに時だけが刻み、日が陰り辺りは黄昏に包まれた。 現在ゆりかごは月の軌道ポイントに着々と突き進み、暫くしてドラゴンオーブを確認、 周囲に散らばっていた残骸はエインフェリアの手によって清掃、ゆりかごが横付け出来る空間を作り出した。 丁度その頃、レザードは移送を終え目の前にはスカリエッティ達が出迎えており、レザードはスカリエッティと挨拶を交わしていた。 「いや…ヒヤヒヤしたよ」 「…私があの程度の相手に後れをとるとでも」 「レザードの心配じゃないよ」 スカリエッティが案じていたのはミッドチルダの安否である。 カタストロフィを起動させたレザードの広域攻撃魔法は街を…いや区画を瞬時に壊滅させる威力を持つ、 それ程の威力を誇る魔法であるとミッドチルダはおろか、次元が綻び次元震が起きる可能性がある。 実際次元震の兆しが確認されており、あれ以上戦闘が続けば次元震が発生するところであったと説明を終える。 「そうですか、少々やりすぎたようですね」 「まぁ何にせよ無事でよかった」 計画に必須であるミッドチルダが無事であれば先に進める事が出来る、後はゆりかごとチンクの力を行使するだけである。 とその時である、今この場にはスカリエッティを中心に右にウーノ、ドゥーエ、クアットロ、左にトーレ、セッテ、チンク、ルーテシアがおり、 ギンガ、ディエチ、ディードは治療ポットに入り、アギトはディードの付き添いの為に此処にはいない、 ノーヴェ、オットー、ウェンディ、ガリューは魂だけの存在となりチンクの中にいる。 「……?セインの姿がありませんね」 「ヤッホーーー!私は此処だよ」 声と共にチンクの体から飛び出すセイン、ゆりかご内における内乱、反逆の不死者と戦闘になり肉体を失ったと、 そしてゆりかごに戻ってきたチンクの手によってマテリアライズされ、現在はノーヴェ達と共に体内にいるという。 「それにしても…魂だけで生きてるって変な感じ」 「……実際は生きている訳ではないのですがね」 それはともかく彼女達の肉体を再構成して輸魂の呪を行えば復活する事が可能、 本人が望めば今までとは異なる肉体に輸魂する事も出来るように説明すると 次々にチンクの体から魂が現れレザードに群がり要望を告げる、その光景に頬を掻き呆れる様子を浮かべていた。 すると其処にルーテシアが現れレザードを見上げ小さな声で要望を告げた。 「ガリューも…復活させて……」 「やれやれ…千来万客とはこの事ですね」 だが今は計画を完了させることを優先、肉体の再構築はその後でも可能であると告げチンクに目を向ける。 「ではチンク、そろそろ本来の力を手にしましょう」 「本来の…力ですか?」 「そうです、貴方の胸の内に潜む力、それをレリックによって引き出すのです」 やり方は精神集中と変わらない、それに魂をマテリアライズさせる事が出来た今のチンクならば可能であるとレザードは力強く説明、 早速チンクは精神集中を行う、静かに淡い光がチンクを包み込みゆっくりと回転を始める。 徐々に光は強く輝き出し完全に体を包むと、人の形を象った光は徐々に大きくなる。 それは手も足も胸も確認出来る程に成長を遂げ、光が消えていくと其処には23歳位の女性が立っていた。 「こっこれは一体!?」 「ホムンクルスの肉体が功を奏したようですね」 ホムンクルスは生きた金属で構成されたフレームを使用している、チンクはホムンクルスと融合する事により 成長するフレームを獲得、そしてレリックのエネルギーがチンクの奥底に眠る力を引き出し それを最大限に使用出来るよう肉体も併せて成長したのである。 チンクの姿はまさに“愛しき者”の生き写し、故にレザードはチンクにもう一つの名を与える。 「本来の力に目覚めた以上、チンクにはこの名が相応しい…“レナス・ヴァルキュリア”」 「レナス・ヴァルキュリア……」 …数多の戦場を駆け抜け魂を選定する者、戦乙女ヴァルキリーの名、レザードが恋い焦がれ思いを寄せた愛しき者の名。 そして…世界崩壊ラグナロクの折り世界を創り護った創造主の名、今まさにチンクは神の名を引き継いだのだ。 だがそれだけではない、チンク――いやレナス本来の力を得たという事はマテリアライズの際の制限時間三分も無くなった事も意味し レナスの能力であれば永続的な生を受ける与える事が出来るようになったのだ。 この結果に魂組は喜びを隠せないが、やはり魂として生きるより肉体を選び、マテリアライズされる事は無かった。 「まぁいいでしょう、この事は…今我々に必要なのは―――」 「分かっている、すぐに向かおう」 はやる気持ちを抑えながらも狂喜に満ちた表情を浮かべ歩き出すスカリエッティ。 それに呼応するかのように次々に歩き始めレザードの隣にはレナスがついて回り、 クアットロはそれをジッと見つめその光景を目の当たりにしたドゥーエが寄り添い佇んでいた。 「いいの?クアットロの気持ち伝えなくて…」 「いいんです~、所詮は叶わぬ恋だったんですぅよ」 クアットロはレザードに振り向いて貰いたく様々な行動を行ってきた。 認められたくて無茶をした事もあった、側近になってからもレザードを陰から支え立てていた。 だがレザードの目は常にチンクに向けられていた、その事に歯噛みする事もあったが今回でやっと理解した。 レザードにとってチンク――いやレナスはもっとも大切な存在、自分が割って入れる仲では無かったのだと。 「それに初恋は実らないって言うじゃないですかぁ」 「………」 ドゥーエは何も答えずジッとクアットロに寄り添う、暫く二人は佇み沈黙が包む中、 クアットロは突然ドゥーエの胸に顔を埋めか細い声で泣く、誰にも悟られないように…自分の心の内を知るドゥーエだけに聞こえるように…… ドゥーエもまた黙って胸を貸す、クアットロの胸の内を知る者として…姉として…… 此処はゆりかご内のコントロールルーム、現在頭上には巨大な球体型の魔法陣が姿を現していた。 この魔法陣はレザードの世界に存在する世界樹の名を取ってユグドラシルと言い 世界創造に必要なデータとレナスの力である原子配列変換能力を強化しミッドチルダを魔力素に変え、 更にマテリアライズにて新たな世界として再構築させる際にも必要な重要な魔法陣である。 「だがその前にミッドチルダを砕かなければ」 世界を創るにはまず媒介が必要、だがまるごとでの世界創造にはかなりの魔力が必要となり、なにより良いものが出来ないらしい。 その為にまず破壊し残骸にしてから再構成させる、そうした方がより良い物が出来上がるらしく レザードの話では折れた武器の法則と呼ぶらしい、なんだか胡散臭い話である。 だがスカリエッティはまるっきり信じ、ゆりかごの主砲と当初の予定では無かったドラゴンオーブの砲撃の同時攻撃、 これほどの出力があれば一瞬にして崩壊を見込めると狂喜に満ちた表情で語るスカリエッティ。 「では、そろそろ終幕としよう」 スカリエッティの一言を合図にゆりかごとドラゴンオーブは二つの月から魔力を吸収、 ゆりかごはその魔力を鍵によって聖王の魔力に変換、聖王の鎧の効果を持った虹色の魔力砲となって撃ち放たれた。 一方ドラゴンオーブも吸収した魔力を中心の赤い水晶体の中で増幅・収束し臨海点を超えると、その長い砲身にて加速させて発射 二つの巨大な魔力砲は折り重なるように合わさり螺旋を描きながらミッドチルダに直撃、中心核まで到達していた。 この一撃により粉塵を巻き起こし全土を黒い塵で覆い天変地異が引き起こされ 地震、雷、津波、噴火、嵐、竜巻、吹雪などが至る区画で被害を被り、その後世界を切り裂く地割れが発生、 三種に分断され磁場を失い自軸も失ったミッドチルダは巨大な瓦礫と化した。 続いてスカリエッティはレナスに指示、ユクドラシルの中心に位置するレナスは原子配列変換能力を発動、 魔法陣が力強く輝き出し、月の魔力を吸収して変換、白金の魔力に変わり主砲で発射される。 それにより瓦礫は魔力素に変化、宙域は濃い魔力素に覆われる事となった。 「よし!これでフィナーレだ!!」 最後の指示にマテリアライズを開始、魔力素は形を成し建物などが構築化されユクドラシルによる記憶、情報の改竄・変更・保守・改良により生物が構成され始める。 ユクドラシルには世界を構築する為に世界の粗方の情報が詰まっている。 情報と言っても平均を示す一般的な生物や建物や植物など情報、改良や変更による幻獣や魔法生物などの情報 物によれば構成するべきではない改竄した方がよい情報、例えば評議会などレナスの負担を軽微させる為の補助効果を持っている。 …そして出来上がった新たな世界、それは中世を思わせる造りと近代が入り混じった世界、 しかも一つでは無く幽体を主とした二つの幽界も存在し、それはかつてレザードが済んでいた三重世界に構成は似ていた。 「これは………」 「レザード…君と出会って十年、思い描いていた世界がやっと実現したよ」 思えば十年前…レザードから聞いた世界に胸の高鳴りを覚えた、そして十年後…念願であった魂が交差する世界が生まれた。 スカリエッティの持論である物と人を分かつ絶対条件が確立した世界である。 人は死に魂となって彷徨うのであれば、魂は一体何処へと返るのか… スカリエッティは彷徨える魂を救う為に二つの世界を用意した。 造られし者が人として生きられる世界と共に彷徨える魂に安らぎと苦痛を与える世界、 これがスカリエッティが望んだ世界なのである。 「レザード…君のおかげでこの世界が生まれた…礼を言うよ」 「…いえいえ、それよりこの新たに生まれた世界に名を付けませんと」 「それなら既に決めてあるよ」 両手を広げ力強く…新たに生まれ変わった世界の名を口にするスカリエッティであった。 …神々の黄昏ラグナロクにより生まれ変わった世界、ベルカは人と魂が交差する三重世界である。 数年前…世界構築後スカリエッティはかつてミッドチルダと関わりある世界に向け宣伝した。 「悪政を引いた管理局はもう無い!我々は自由なのだ!!」 そして造られた者もそうでない者も、全ての人が等しく生きられる世界の獲得…その謳い文句は人々を造られた者の心を揺さぶった。 宣言から数日、造られた者の移住が始まり暫くして普通の人も移り住むようになった、人とは逞しいものである。 それから数年後の現在、三重世界の一つ人間界であるミッドガルド、中央都市であるクラナガンは今日も人で賑わい 中央ターミナルには多数の来客を迎え入れ、新たに生まれた世界に胸を躍らせていた。 郊外に目を向ければ風情のある街並みが続きレンガの建物が印象的なクレルモンフェラン 北に目を向ければ田舎町を思わせ小川には水車が回るコリアンドル、 南のアルトセイムにはフレンスブルグと呼ばれる首都があり神学や魔術学など魔法学校が建ち並び魔導師の楽園と呼ばれている。 東にはパークロードや娯楽施設が並び、小さな子から大人まで時間を忘れて遊ぶことができ 更に東の島国は倭国と呼ばれる独特の文化が根付く、何処となく日本文化を思わせる国も存在した。 そして西地区の一角に深い森が存在し精霊の森と呼ばれ森の住人が日夜森を守護している。 更に奥には巨大な木が存在しており中を潜ると新たな別の世界への門が存在する。 門には二人の門番、イージスとミトラが常に見張っており、門を潜ると其処には虹色の橋が続く。 名はビフレストといいミッドガルドともう一つの世界を繋ぐ橋である、この道を通れば肉体は幽体に変わり幽界に向かう事が出来る。 その幽界の名はアスガルド、主神が統治する神々が住む世界であり、また魂が安らぐ世界でもある。 広さはミッドガルドとほぼ同じく光が満ち溢れ美しさが際立った場所、中には森も存在し幻獣や妖精などが住んでいる。 そんな世界の中心に存在する宮殿には一人の王が住む、その姿は肩を露出したゆったりとした服装にガントレットのような部分甲冑を身につけ 金色の長い髪に左右が紅玉と翡翠色をしたオッドアイの少し垂れ目でおっとりとした印象を持つ女性、 かつてヴィヴィオを名付けられた存在と同じ存在、オリヴィエ・ゼーゲブレヒトである。 無論オリジナルではなく更に言えばヴィヴィオが成長した存在でもない。 彼女はヴィヴィオと同じ遺伝子から再構成させた存在で、その体は幽体だが魔力は王の証明たる虹色の魔力光、 その強さは神界の頂点に立ち、輸魂の呪とアストラライズも習得したレザードの弟子である。 無論師匠たるレザードに逆らわずレナスに崇拝している、彼女の役割は魂の選定、仕分け、回帰などが主である。 人が死に魂となるとアスガルドへと運ばれオリヴィエと彼女の後ろに存在するユクドラシルにて査定、 公平な判断の下、闇に落とされる者、此処に留まる者、人間界に返す者と振り分けられる。 そして強い魔導師、騎士においてはエインフェリアとして暮らす選択もを与える事もあった。 エインフェリアは神界を護る盾の役割だけでは無く、ベルカに侵略する者に対して排除する剣の役割も担っていた。 だが神は彼女だけでは無い、自分の意志で側近となりアストラライズ化したオットーとディードに トーレとセッテ、二人はエインフェリアの指揮者として此処に暮らしている。 アギトはディードをマスターに此処で暮らしているが妖精達と遊んでいる事が多い、最近はどうやら男が出来たともっぱらの噂である。 他にも右目が紺で左目が青い存在、炎と雷を得意とした存在、個性的な魔法を使用する存在など多種に分けて存在する。 …そして選定され咎人となった者の魂は闇に落とされ罪を償わされる。 名はニブルヘイム、世界は闇に包まれ人の不安を掻き立て罪の意識を再確認され、 至る場所には不死者が渡り歩き罪人を裁く要因としても用いられていた。 そんな世界の一角に存在する城、その中にはヘルと名を変えたクアットロが移り住んでいる。 彼女はこの世界の統治者にして不死者を操る者、そして咎人に刑を抗し償いし者を帰す役割を持っている。 彼女には信頼出来る姉ドゥーエがおり、彼女と二人三脚で役割を抗ししていた。 因みに闇の森の中には不死者達が一目置く存在ブラッドヴェインが住んでいる。 世界は大きく変わり他の世界とも交流を深め、また侵略者に対しては確固たる態度で応戦し治安を護っている。 全ては順調スカリエッティが立てた案により安全が約束されレザードの手による魂の獲得により、 造られし者達は命を得て生きている、中には結婚を成し子を持つ者もいた。 スカリエッティもその一人である、ウーノと結婚し二人の子を設けている。 現在彼は人間界の倭国に移り住み、小さな医療院を立ち上げ家族四人で平和に暮らしている。 今日は休業日、家族団欒…水入らずでUNOで遊んでいた。 「ドロツー」 「ドロツー!」 「ドロツー、ウノです」 「………仕組んでない?」 二人の子のドロツーの後にウーノが赤のドロツーを出し、スカリエッティに六枚のカードが行き渡る。 そんな三人のテンポの良さに仕組まれているのではないのかと疑いの念を抱くスカリエッティ。 「まさか…どうやって仕込むんですか?」 ウーノは呆れた様子で肩を竦め、そんなやり取りが続けられていた。 存外にもスカリエッティは子煩悩であり、家事を手伝うのも屡々、時とは人を変えるものである。 変わったといえばルーテシア、かつての面影は無くなり明るく気さくな存在となっていた、人との繋がりが彼女を変えたのかもしれない。 そんなルーテシアは現在、母メガーヌ、相棒のガリューと共に建築デザインや設備設計などで生計を立てている。 だがいずれは自分の設計の下宿泊施設を立ち上げると言う野望を胸に秘めていた。 因みにセイン、ディエチ、ウェンディも従業員として滞在しており、こき使われている。 一番の悩みはセインがよくサボり、そのとばっちりが二人に掛かり減給され給料が少ない事である。 それはさておきノーヴェ、ギンガはスバルと共に一つ屋根の下で暮らしていた。 スバルはレザードの手により右腕から再構築されその時に魂を注入、記憶も一部改竄され現在は二人の末っ子として暮らしている。 現在は道場を立ち上げシューティングアーツにおける護身術を学ばしており、 三人とも綺麗どころなのか人の入りは重畳、告白される事も屡々だが、やんわり断っているようだ。 かつての仲間達は自らの役割・使命・希望を選び、この世界で暮らしている、自由気ままに誰にも縛られずに…… …それから長い年月がつき、レザードとレナスと名を変えたチンクは月の軌道ポイントにある、ゆりかごの中で暮らしていた。 世界創造後レザードはスカリエッティと共に地上におり世界を見渡し、二人で様々な案を出し合いニブルヘイムの女王にする為クアットロに輸魂の呪を教え スバルと同時にオリヴィエを製造、その後オリヴィエはレザードの弟子となり、ゆりかご内で鍛え上げられ 輸魂の呪と共にアストラライズを学んだオリヴィエは肉体を捨てレザードと同じ存在となりレザードからアスガルドの統治者に任される事になる。 それまではレナスがアスガルドを統治していたのだが、オリヴィエと交代する事によりレザードの下に戻り一緒に暮らすようになったのである。 「レザード、お茶です」 「あぁ、ありがとうレナス」 レナスから手渡されたお茶を口にしジッと世界を見つめる。 アスガルドはオリヴィエに一任してある、彼女のカリスマ性、実力、性格であれば愚神と同じ道を歩む事はない。 だからこそユクドラシルを渡しドラゴンオーブの制御も開け渡した、それに自分に逆らう事はまず無い。 地上は平穏そのもの、時々小競り合いがあるがそれは人としての業、介入する必要はない、 第一、力で押しつければそれは過去の体制と同じそれでは意味がない。 まぁ、尤もレザードにとって過去の体制などどうでもいい話、 今必要なのは世界が安定し順調に生と死が混じり合い魂の循環が行われているという事 最早干渉は無粋、寧ろ干渉する事こそ無粋といえる。 「頃合いだな…」 「何がです?」 「旅立ちだよ」 いずれは決断しなければいけない事、全てが終わり計画も成功した以上留まる必要も…もうない。 「ではドクターに別れの挨拶でも?」 「いや…必要無いだろう」 スカリエッティはスカリエッティとして人生を全うしようとしている、無限の欲望としてでは無く…人として…… モニターに映し出されたスカリエッティの映像を目にした感想である。 …であれば一刻も早く此処を立ち去る事を決め、ベリオンに指示を送り暫くぶりにゆりかごが起動始める。 そして転送用の魔法陣が張られると最後の確認のようにスカリエッティを見つめた。 「さらばだ…我が友スカリエッティ……」 レザードはモニターを閉じマントを翻しレナスを傍らに置き奥へと歩き始める。 それと同時にゆりかごは転送され歪みの神はベルカを後にした…… 此処はミッドガルドの東の島国…名は倭国、縁台にはスカリエッティが一人座り空を見上げていた。 そこに小さな少年が現れスカリエッティの手を取る。 「じいちゃん?なんで空を見上げてるの?」 「ん?それはね…私の友が去ったからだよ……」 少年は首を傾げ疑問に満ちた顔を浮かべスカリエッティはそんな顔に笑みで答え頭を撫でてやる。 すると少年は恥ずかしかったのか、はたまた嬉しかったのか顔を赤く染め上げその場を後にする。 それを見送ったスカリエッティは目線を空へと向けて小さく言葉を紡ぎ出す。 ―――さらばだ…私の友レザード・ヴァレス――― ifへ 目次へ
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第1話「それは不思議な出会い!急げ!百鬼魔界へ」 (誰か……助けて……誰か……。) ある企業グループの私有地とされる山中、人の通わぬ森の奥で一匹の小動物が血を流し倒れていた。 (お願いです……この声を聞いた人がいたら……) もはや満足に体を動かすこともできないそのフェレットは、一縷の望みを掛けて 念話によるSOSを発信していた。 念話、すなわち魔法を使える者だけが聞き取れる手段で。 魔法の存在が確認されていないこの管理外世界『地球』で。 それがどれほど期待のできないことかは本人にも分かっていた。 管理外のこの世界の、それも彼のすぐ近くに魔導師が偶然いて、 幸運にもその人物がジュエルシードによって凶暴化した獣を撃退できるほどの実力で、 そして私利私欲のためにジュエルシードを欲しようとしない高潔な人物である、 などという都合のいい現実があるわけがない。 それでもそのフェレット、ユーノ・スクライアという名の年若い魔導師は あり得ない可能性にすがるしかなかった。 数分もすればあの獣がユーノに追いついて、彼の体を引き裂くのだから。 (お願い……誰か……) このまま誰にも気付かれず、人知れず朽ち果てていくのだろうか、 ユーノがそう絶望した時だった。救いの主が現れたのは。 「いかん。このフェレット怪我をしてるじゃないか」 優しそうな男性の声が聞こえる。しかし――――― (良かった、気付いてくれた人………が…………) 自分を見下ろす人影を見た瞬間ユーノの思考は完全に停止した。 (な、な、なななな、なんだコレエエエェェェェェ!?) それは人ではなかった。 頭部は戦車の砲塔にしか見えない形状、足にはキャタピラを装備、全身を覆う分厚い装甲板と 右手の銃器は、その体が戦闘の、あるいは戦争のために生み出されたことを容易に想像させる。 傀儡兵の類かと考えたが、流暢に喋る傀儡兵などユーノは知らない。 「早く手当をしてやらないと…」 凶悪な外見と不釣り合いに優しい態度を見せる救世主。 ネロス帝国機甲軍団烈闘士ブルチェックだ。 なお、ユーノの念話が聞こえたわけでは決してない。演習後にたまたま通りがかっただけである。 (あの…もしもし!?僕の声聞こえてますか!) 「待っていろ、ゴーストバンクの設備ならすぐに治るからな」 (うわ!ちょっと、そんなゴツイ指で掴まないで!) ブルチェックの無骨な指先は牛の乳を搾れるほど繊細に動くのだが、そんなこと露ほども知らない ユーノにとって殺人兵器とおぼしき物体に掴まれるのは恐怖でしかなかった。 (ど、どうなるんだ僕は…!) 鈍重そうな姿と裏腹に猛烈な勢いで駆けるブルチェックの手の中で、 抵抗する力もないユーノは絶望的な気分になっていた。 が、程なくしてブルチェックはその歩みを止める。 『グルルルル……』 体長2メートルほどの巨獣。四つの目と二本の角を持ち、黒褐色をした四つ足の生物が道を塞いだからだ。 「な、何だこの生物は!」 (えーと、それはジュエルシードという…) 「怪我をしてる動物がいるんだ!邪魔をするなあっ!」 有無を言わさず頭部の大砲が火を噴く。 ネロス帝国には珍しく動物の命を奪うことを良しとしないブルチェックであるが、 『かわいい動物』の範疇に入らない相手には容赦がない。例えばヘドグロスとか。 不意打ち気味の攻撃は狙い違わず怪物の胴体を直撃する。 そしてユーノは、自分の念話が全く通じてないことを喜ぶべきか悲しむべきか分からなかった。 『グギュウウアアァァァ!!』 「こいつ、まだ立つか!だったら!!」 至近距離からの砲撃を食らい吹き飛んだ獣は、おぞましい叫びをあげながらなおも戦闘態勢をとろうとする。 そこに飛来する第二第三の砲撃。さらには右手の銃もうなりをあげる。 『ギョオォォアアアア!!!』 「これでどうだ!」 六発目を食らったところでついに力尽きたのか、怪物はピクリとも動かなくなった。 「おそろしくタフだったな。モンスター軍団の失敗作か?……ん、何だこれは!」 動かなくなった獣はブルチェックの目の前でするすると縮んでいく。 数十秒後、砲撃によってえぐられたクレーターの中心には、一匹の傷ついた犬と 青く輝く結晶体が転がるだけであった。 「お、俺としたことが犬を殺してしまっただと!? ……いや、まだ生きている!可愛い動物たちを、俺の前で死なせたりはせんぞ!絶対に救ってみせる!」 叫ぶが早いがブルチェックは右腕で犬を抱えて駆け出す。妖しげな結晶体を回収することも忘れていない。 一方左手で掴まれているユーノは現実逃避に忙しかった。 (ま、魔法を使ってないのに、力ずくでジュエルシードを回収しちゃった……) 確かに理論上は可能かもしれない。しかし一度発動したジュエルシードを融合した生物から 物理的に引き剥がすには常識を遥かに越えたパワーが必要なはずだ。 (こんなこと……あるわけがない……) 痛みと疲労の上に精神的なショックが重なり、そろそろユーノも限界が近い。 自分を掴む戦車のような怪物がなんなのか、それを考える余力もなかった。 ユーノ・スクライアは後に語る。 この時念話でなく直接話しかけていたらどうなっていたか、その末路は想像もしたくない、と。 ネロス帝国。 世紀末の悪の帝王ゴッドネロスのもとに組織された恐るべき帝国である。 その目的は経済による世界の支配であり、表の姿である桐原コンツェルンの利益を生むためにはどんな 恐ろしいことにも手を染める。競合他社への直接的間接的問わない攻撃や、石油プラントの破壊による 原油価格の高騰での荒稼ぎ、また時に一国の歴史すら変えてしまうこともあるという。 その本拠地であるゴーストバンクは桐原コンツェルン本社地下にあり、桐原コンツェルンの社長である 桐原剛三は真の姿である帝王ゴッドネロスへと姿を変えて謁見の間に降臨するのだ。 ゴーストバンクには帝王が作り上げた恐るべき4つの軍団が控えている。 まずヨロイ軍団。銀の甲冑に身を包んだ剣士クールギンを長とする軍団で、ヨロイや強化服を身につけた 人間もしくはサイボーグで構成される。正々堂々とした戦いを好み、皆が皆武人たらんとする強者揃いの 軍団である。 次に戦闘ロボット軍団。戦闘に特化し、高い戦闘力を持ったロボット達で構成される。軍団長である バルスキーは男気あふれる性格で、部下からの信望も篤い。 そしてモンスター軍団。バイオテクノロジーで作られたミュータントや合成生物で構成される。 「口八丁手八丁、卑怯未練恥知らず」「食うて寝て果報を待つ」といった4軍団の中では異色の モットーを持つ集団で、軍団長のゲルドリングをはじめとしてどんな汚い手段を使ってでも勝つことを 美徳としている。透明化、液状化、夢を見せるなど特異な能力を持つ者も多い。 最後に機甲軍団。戦車、ミサイル、ヘリコプターなど実在の兵器をモチーフとしたロボットで構成される 火力と装甲に優れた軍団である。「数と機動性」という特色も持ち、他の軍団とは異なり同型機が 複数生産されている。また4軍団の中で唯一航空戦力を持っており、その価値は帝王ゴッドネロスも 認めている。戦艦を模した姿の軍団長ドランガーはあまりゴーストバンクを離れず、副官のメガドロンが 現場指揮を行うことも多い。 各々の軍団には厳密な階級が存在し、軍団長である凱聖をトップとして豪将、暴魂、雄闘、爆闘士、激闘士、 烈闘士、強闘士、中闘士、最下級である軽闘士へと続く。また修理ロボ、音楽ロボのような非戦闘員は 軽闘士よりも更に下に位置する。 「ネロス!ネロス!ネロス!ネロス!」 ゴーストバンク謁見の間に戦士達の叫びが唱和する。帝王が降臨する際は各軍団勢揃いで迎えるのが慣例と なっていた。 整列した4軍団の前で、玉座に人影が浮かび上がる。 醜悪な老人の姿。その内に湛えられた知性と野望。たった1人で、1代でこの帝国を作り上げた男、 帝王ゴッドネロスその人である。 「余は神、全宇宙の神ゴッドネロス!」 「ネロス!!ネロス!!ネロス!!ネロス!!」 ヒートアップする一同。それを手で遮り静かにさせた帝王はおごそかに言葉を紡ぎだした。 「各軍団、現在の状況を報告せよ」 「豪将ビックウェイン、中東において我が帝国に仇なす政権を抹消しました」 「雄闘トップガンダー、こそこそと嗅ぎ回っていたFBI捜査官の暗殺を完了」 「ヨロイ軍団一同、鍛錬は怠っておりません」 「激闘士ストローブ、3機によるフォーメーションは完成に近づきつつあります」 「試験中のデスターX0ですが射撃精度にまだ問題が残るようです」 満足げに報告を聞く帝王。自分も報告をしようと声を上げかけたブルチェックであったが――――― 「帝お……」 「帝王!ワシはブルチェックに問い正したいことがあるんですがよろしいでっか?」 モンスター軍団長ゲルドリングに出鼻をくじかれた。 「何事だゲルドリング………まあかまわん、許可する」 「ありがとうございます帝王……おうブルチェック、帝王の前や。さっきのアレ、どういうことなんか ちゃあんと説明してくれや」 モンスター軍団長凱聖ゲルドリングの、嫌らしさに満ちた声が謁見の間に響く。 頭部を覆う透明なカプセルの中に見えるにやにやとした笑みが、ブルチェックの不安をかき立てていた。。 それは少し時間を遡ってのことだ。2匹の動物をゴーストバンクに連れ込んだブルチェックだが、 当然ながら機械兵器であるところの機甲軍団には生物の怪我を治すような設備はない。 そこで彼が乗り込んだのはモンスター軍団が怪我を癒すバイオ室だった。 何の価値もない薄汚れた動物を、しかも部外者である機甲軍団員が持ち込んだというのだから モンスター軍団の反発は大きかった。しかし意外なことにバイオ室から軍団員達を退かせたのは ゲルドリングである。 死にかけた動物を前に気が急いているブルチェックは、それがどれほどおかしなことか気付いていなかった。 「機甲軍団の烈闘士ともあろう男が、その辺の動物捕まえてきて無断でゴーストバンクの設備を使用! こりゃあ重罪やで」 「なっ!?邪魔をするモンスター軍団員をあの部屋から追い払ったのはあんただろう!」 「ワシは用事があったから軍団員を集めただけや、使っていいなんて一言も言うとらんで。 あれやな、家主の留守にバイオ室を使うとは、機甲軍団ちゅうんはずいぶんと手癖が悪いんやなあ。 おいドランガー、お前んとこは部下の教育もちゃんとやっとらんのかい」 部下の失態を責められた軍団長ドランガーは、苛立ちを隠せぬ様子で詰問する。 「ブルチェックよ、これは一体どういうことだ?」 「も、申し訳ありません軍団長!」 ブルチェックは自分の愚かさに今更ながら気付いた。 あの自他共に認める嫌な性格のモンスター軍団長が、死にかけた動物に情けを 掛けるような真似をするはずがなかったのだ。 あの男の目的は最初から、『帝王の御前で』『規律違反を咎め』『機甲軍団の地位を貶める』 この点にあったのだろう。 (俺は大馬鹿者だ!動物たちの命を救うことに気を取られて、こんな事にも気付かないとは!) しかしブルチェックにも勝算はある。 ここまで露骨にゲルドリングにはめられるとは思っていなかったが、 要はあの動物たちに命を救うだけの価値があることを示せばいいのだ。 その証拠はブルチェック自身の中にある。 「ブルチェックよ、申し開きはあるか」 帝王の重々しい声が響く。機械の体であっても震えを感じずにはいられない、力と威厳に満ちた声。 その声の主は今、彼を咎めようとしている。 まともな規律がないに等しいモンスター軍団や軍団長の裁量が大きい戦闘ロボット軍団と異なり、 機甲軍団は規律を重視する。軍規違反により軍法会議の上銃殺刑、となる可能性は高い。 (ここでしくじっては命がない。オレも、あの動物たちも) 故にブルチェックは一歩前に進み出て、帝王の放つプレッシャーの中に自ら飛び込んでいった。 「恐れながら帝王に申し上げます。 あの動物は高い戦闘力を持った生物兵器の可能性があるため確保しました。 念のためゴーストバンクのデータベースをチェックしましたが、あの動物に該当する個体は モンスター軍団に存在しません。 おそらくはネロス帝国以外の技術で作られたものと考えられます」 「はあ~?生物兵器~?」 ゲルドリングの不審げな声が背後から聞こえる。先ほどまでの芝居がかったしゃべりと 声色が違うのは、本心から疑問を持っているからだろうか。 沈黙を保ったままの帝王の心中は読めないが、制止されない以上続けてもいいのだろう。 「アホ言うな。あれは完璧にタダの動物やった。ワシが直々に調べたんやからな」 他人の粗探しには熱心なこの男のことだ。ブルチェックがゴーストバンクに帰還してから 帝王が降臨されるまでのさして長くもない時間の間に、何かしらの落ち度がないか目を皿のようにして 探したに違いない。 ……などと周囲にいる者達は考えていたのだが、実際にモニタールームで目を皿のように『させられて』 いたのは下位のモンスター軍団員だったことを追記しておくべきだろう。 「ゲルドリング、それは真か?」 「ええ、帝王。そりゃあもう隅から隅まできっちり調べましたからな、間違いないですわ。 犬もイタチも何の変哲もない弱ったケダモノ。あれじゃあ実験材料にもなりませんで」 「そんな馬鹿な!ちゃんと調べたのか!」 「調べたわい!お前こそあれが生物兵器いうんやったらその証拠見せんかい!あるんやったら、やけどな」 「もちろんある!」 「何やて?」 そう、証拠はある。これ以上ない形で。 「帝王、私の交戦記録をご覧下さい」 ブルチェックはモニターと自分をケーブルで接続しながらそう言ったのだった。 戦闘ロボット軍団員と機甲軍団員が見聞きした物は、彼らの『記憶』であると同時にゴーストバンクのデータ バンクに収集される『記録』でもある。自ら改竄することが不可能なそれは、物証としては十分な物と言えよ う。 (それにしても因果な物だ) 怪我をした哀れな動物たちを救うためには、あの犬を危険な生物兵器として認知させねばならない。 奇怪な生物が砲撃になぎ倒される映像を映しながら、 ブルチェックは自らの行動の矛盾が回路にかける負荷を増大させているのを感じていた。 「おお、これは……」 「あの至近距離でブルチェックの主砲を受けて粉みじんにならない生物だと?」 「あれだけ食らえばオレ達だって危ないな」 「あの質量の変化、有り得んな…一体どうなっている」 「モンスター軍団の新兵器ではないのか?」 「アホ言え、あんなもん知らんわ」 「静まれい!」 にわかにざわついた室内だが、響き渡る帝王の一喝にその場にいた全員が口を閉じた。 「ブルチェック、報告を続けよ」 「はい帝王。今ご覧になられたようにあの生物は戦闘能力を失うと同時に小さくなり、 無害な動物となりました。そして現場に残されていたのが……」 言いながら青い結晶体を恭しく帝王に差し出す。 「この物質です」 「ふむ……」 帝王が手をかざすと、手のひらから放射された不思議な光が結晶体を包み込み、 ふわりと浮き上がったそれが帝王の掌中へと運ばれる。 「ほお……すさまじい魔力を感じるな」 「魔力……?人間の言う魔術とか魔法とかいうやつですか?」 帝王の言葉にバルスキーは疑問の声を投げかける。 純粋に科学で作られた彼らロボットにとって、超自然的な現象は理解の外にある。 今、帝王が見せたような力も何かの装置を使っている物とばかり考えていたのだ。 「帝王は偉大な科学者であらせられるが、妖術においても造詣が深い」 そのバルスキーの疑問に答えたのはクールギンだった。 おそらくはネロス帝国で最も帝王ゴッドネロスとの関わりの深いこのヨロイ軍団長は、 時折他の凱聖すら知り得ぬ情報を持っている。 「妖術を?なんと、さすがは帝王。……もしやヨロイ軍団にもそういった力を持つ者がいるのか?」 「いや、我々には帝王ほどのお力はない。護摩を焚き加持祈祷をするのが精一杯だ」 「そうなのか」 ヨロイ軍団は強化された人間やサイボ-グで構成されている。帝王同様に生身の肉体を持つ彼らの中には 魔力を持つ者がいるかもしれない、バルスキーはそう考えたのだが彼の予想した以上に魔力を持つ者は 稀少らしい。 (やはり帝王は全てにおいて別格ということか) そう結論づけたバルスキーは、意識を切り替えて帝王の次の発言を待つことにする。 不気味な明滅を続ける結晶体を掌の中でもてあそびながら、帝王は何かを思案している様子だった。 と、唐突に結晶体が強い光を放ち出す。 「帝王!」 「慌てるでない!」 注視する一同の前で結晶体は再びふわりと浮き上がる。帝王の手から放れると閃光は弱まり、 帝王に何かあっては一大事と焦っていた幹部達も落ち着きを取り戻した。 「い、今のは一体……」 「こやつ我が欲望を喰らわんとしおったわ。余でなければこの力に飲み込まれていたであったろうな」 「帝王!お体は大丈夫なのですか!?」 「侮るなクールギン、余は神、ゴッドネロスであるぞ?しかしこの強大な力、未知なる魔法の産物…… ふふふ……久々に探求心がたぎってきたわ。この力、必ずや我が帝国の糧となるであろう。 でかしたぞブルチェック」 「帝王にお褒めいただき光栄至極に存じます!」 乗り切った!ブルチェックは心の中でガッツポーズをする。 一方モンスター軍団員は上から下まで全員が唖然としていた。 「さてブルチェックよ、余はお前の働きに対し褒美をやろうと思う。何が望みだ?」 「……それでは帝王、私の回収してきた動物たち、彼らを山に帰してやってください。 すでにモンスター軍団の調査でただの動物だったと判明しているのですから、 逃がしても構わないはずです」 「ふむ…」 思案しながら、掌の上でふわふわと浮かぶ結晶体とブルチェックを交互に見やる帝王。 「まあよかろう。所詮は動物、ゴーストバンクの情報を外に漏らすようなことはできまい。 あの動物はお前の好きにするがいい」 「ありがとうございます帝王!」 「ちょ、ちょっと待ってください帝王!犬はともかくイタチは関係ないでっせ。いや、そもそも最初っから その結晶だけ持って帰ればよかったんとちゃいますか!」 「うう!そ、それは…」 ゲルドリングに突っ込まれたのは最も痛い点だ。百歩譲って犬の方はまだ調査する理由があるが、 フェレットにはそれがない。ブルチェックは全身から一気に冷や汗が吹き出すような感覚を味わっていた。 「今回は功績に免じて特別に許そう。だがブルチェック、次はないぞ?」 「は、ははー!」 再度訪れた危機をどうにか乗り越えたブルチェックは、これからは生物用の医療キットも携行しよう、 と心に誓うのであった。 「さて次なる任務だが……ストローブ、バーベリィ、これへ」 「ハッ!」 戦闘機とヘリコプターの機能を有する機甲軍団員が一歩前に出て気を付けの姿勢をとる。 「お前達は近隣一帯を空から調査し、この結晶体と同じ物を探すのだ。これ以外にも存在するやもしれん。 そして先ほどの犬のような高い戦闘能力を持った生物がいた場合これを撃破、結晶体を回収せよ。 ドランガー。この任、機甲軍団に命ずる」 「帝王のご命のままに!」 「ではこれにて解散。各軍団は十分に英気を養っておけ」 その言葉を最後に、帝王は玉座から姿を消しその場は散会となるのだった。 「ストローブ、バーベリィ、出られるか」 「いつでも出られるように燃料は満タンです!」 「よし、直ちに発進せよ!残りの者は給油次第出撃だ。弾薬のチェックを怠るな!」 「了解!」 ドランガーの檄が飛ぶ。戦闘態勢に入った機甲軍団は迅速に命令を実行しようとしていた。 一方現場指揮の任を帯びた豪将メガドロンは、出撃メンバーの姿が足りないことに気付く。 「ブルチェックはどうした!?」 「あいつなら元気になった動物たちを山に帰すと言ってどこかに行きました」 「……帝王直々にいただいた褒美か。ならば仕方がない、動物どもを山に帰したらそのまま 周辺地域の探索に移るよう伝えておけ」 動物愛護などという概念はメガドロンには全く理解できなかったが、帝王による裁定に 文句を付ける気など毛頭なかった。機甲軍団は鉄の軍規で縛られているが、その頂点には帝王が君臨する。 上官の命令は絶対、そして帝王の命令はそれ以上に絶対的な物なのだ。 「軍団長、今日の帝王は気合いが入っておいででしたな」 「あのようにお喜びの帝王を見るのは久しぶりだ。それに英気を養っておけという命令。 おそらくは帝王には次の戦い、新たなる一手が見えておられるのだろう」 「次の戦い、ですか……」 戦闘ロボット軍団では豪将ビックウェインと凱聖バルスキーが今後のことを話し合っている。 『伝説の巨人』とまで恐れられる副官は何故かあまり乗り気ではなさそうだったが。 「どういうこっちゃコレ」 帝王が退出し、解散となった謁見の間では未だにモンスター軍団だけが残ってボヤいていた。 「機甲軍団にミソつけてやろうとしたのに、なんで手柄になっとるんじゃあ!」 「軍団長落ち着いて」 「機材使われた分損しとるやないか!納得イカンで!この!この!」 「痛い、痛い!軍団長、八つ当たりはやめてください!」 「うおー!なんでやー!!」 モンスター軍団の行状が醜いのは―――――まあいつもどおりだった。 「さて、この辺りならいいか」 「キュウ~?」 「はは、かわいいやつだなお前は」 犬とフェレットを抱えたブルチェックは、2匹を発見した場所からかなり遠い山林まで来ていた。 「あのあたりはネロス帝国の演習場に近い。お前達はもっと静かなところで暮らすんだ」 要は自分たちと関わり合わないようにというブルチェックなりの心配りである。 そうして犬を地面に下ろし、フェレットを木の枝に乗せたブルチェックは後も振り返らず一心不乱に 駆けていった。そうしないと名残惜しくていつまでもその場に留まってしまいそうだったからだ。 そのフェレットが首に付けていた深紅の宝石が無くなっていることに、ブルチェックは 最後まで気付くことはなかった。そしてフェレットの瞳が高い知性を持った物で、ネロス帝国の中を つぶさに観察していたことにも。 「なんて恐ろしい世界なんだここは……。魔法を使わずにあんな物が、それもあれだけの規模で。 レイジングハートも取られちゃったし、もう僕一人じゃ無理だ。 どうにかして連絡を取らなきゃ……時空管理局に―――」 ユーノ・スクライアのつぶやきを聞いたのは風と雲と太陽だけであった。 明らかになる魔法の存在、そして悪の手に落ちたジュエルシード。 新たなる力を手にしたネロスの野望は留まるところを知らない。 だが、ジュエルシードを求める機甲軍団の前に新たな戦士が姿を現す。 瞬転せよ、フェイト。 魔法帝王リリカルネロス、 次回「翔く魔導師!娘よ、母の願いを!」 こいつはすごいぜ! 提 供 桐原コンツェルン 時空管理局 プロジェクトF.A.T.E. このSSはご覧のスポンサーの提供でお送りしました。 目次へ 次へ
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Permanent Card E.G.O. 3F2C +1/+1/- ブースト1/サーチ(“スバル・ナカジマ”) ≪このカードがセットされているキャラクターにセットする“スバル・ナカジマ”のブレイクカードのコスト≫は、手札に戻る。 このカードが“スバル・ナカジマ”にセットされている場合、≪このキャラクター≫は+1/+1/+1され、オフェンシブ・インターセプト・ブースト4を得る。 No.EX0293 Rarity R Illustrator 藤真拓哉 Expansion エキストラエクスパンション 魔法少女リリカルなのはViVid カード考察
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不安 と 困惑 ◆HlLdWe.oBM デスゲームの開始から早い事で既に8時間以上が経過していた。 ここまで様々な感情がこの会場内に渦巻いてきた。 この忌まわしいデスゲームを打破する仲間と幸運にも巡り合えるという『喜』。 大切な者の命を目の前で又は与り知らぬ所で無残にも奪われるという『怒』。 自ら犯した過ちや誰かによって齎された悲劇に絶望するという『哀』。 混沌とした場において繰り広げられる破壊や誤解に愉悦を覚えるという『楽』。 各々抱く感情は千差万別であり、その数だけ数多の感情が紡がれていく。 そして生まれた感情は別の感情とぶつかり合い、そこでまた新たな感情が生まれる。 それはここに来るまで持っていたものであったり、ここに来てから持つようになったものであったり。 そして、今ここでも新たな感情が生まれようとしていた。 その場所とは、意外な事にどこにでもあるような商店街であった。 ▼ ▼ ▼ 若き魔導師が抱く感情は『不安』。 (……ブーストか。でもデバイスが手に入っただけ運が良かったのは確かだね) 高町なのは。 それが若き魔導師、時空管理局の空のエースの名前だ。 その横には仲間であるペンウッドの姿がある。 今なのはの手にはブーストデバイスであるケリュケイオンがあるが、これは元々ペンウッドが持っていた物だ。 曰く、学校で見つけたデイパックに入っていたと。 それがなぜなのはの元にあるかと言うと、理由は単純で、その方が有効的だから。 なのはは魔導師であり、魔導師はデバイスを使用する事で魔力を円滑に行使する事ができるからだ。 だが少し問題がある。 それはケリュケイオンがブーストデバイスという分類にある事だ。 なのはの相棒であるレイジングハート・エクセリオンはインテリジェントデバイスという分類になる。 インテリジェントデバイスとは魔法の発動の手助けとなる処理装置や状況判断を行える人工知能を有したデバイスだ。 デバイス自身が意志を持つため、その場の状況判断をして魔法を自動起動させたり、主の性質によって自らを調整したりする。 その代わり基本的に扱うのが難しいが、意思疎通が問題なく出来れば実用性を超えた高いパフォーマンスが期待できる。 それに対してブーストデバイスは魔力射出・射出魔力制御の補助に優れたデバイスだ。 その特性ゆえに能力強化のブースト魔法や自分以外の物体・生物を任意の場所に出現させる召喚魔法と相性が良い。 つまりなのはがいつも使用しているデバイスと勝手が違うのだ。 これが一般的に流布しているストレージデバイスなら違ったのだろうが、ブーストデバイスではそうもいかなかった。 つまり事前に慣れておかなければ、いざという時に不都合が生じる可能性が高い。 だからこうして定期的に周囲にエリアサーチを掛けつつデバイスのスペックの確認をしているのだ。 それも既にあらかた終わって今では問題なく使える程度にまでなっている。 (でもキャロにシューター系を教えておいて良かった。これならアクセルシューターに関してはだいぶ使えるはず) 元々ケリュケイオンが射撃制御に向いている事もあってシューター系の射撃魔法を教えていた事が思わぬ所で実を結んだ形となった。 こんな事になるとは訓練中には思ってもみなかったが、ケリュケイオンの事を把握するうちにキャロの努力の一端に触れる事ができた。 その事に仲間として戦技教導官として嬉しさを覚えつつも、一方で今キャロがどうしているかと不安にもなる。 キャロのデバイスがここにある以上キャロの力はこの制限が掛かっている状況ではいつものように発揮できない事は容易に想像できる。 それはキャロに限らず、なのはの知り合いのほとんどに共通する懸念であった。 だが、それでもなのはは信じていた。 (キャロ、そしてスバルもきっと無事でいるはず) なぜならあのキツイ訓練に付いてきたのだから。 ずっと繰り返してきた基礎スキル。 磨きに磨いたそれぞれの得意技。 痛い思いをした防御練習。 全身筋肉痛になっても繰り返したフォーメーション。 いつもボロボロになるまで私達と繰り返した模擬戦。 守るべきものを守れる力、救うべきものを救える力、絶望的な状況に立ち向かっていける力。 必要な力がしっかりと身に付くようにキツイ訓練を課してきた。 だが現実はそう甘くなく、既にティアナとエリオの二人は帰らぬ人となってしまった。 それが例え別の世界の赤の他人だとしても二人がなのはの教え子である事に変わりはない。 だからこそなのはは願う。 残りの二人、スバルとキャロはせめて無事でいてほしいと。 そして同時になのはは信じている。 二人が今までの教えを糧にして行動していると。 (きっとフェイトちゃんやはやてちゃん、それに皆も……) フェイトも、はやても、ユーノも、ヴィータも、シャマルも、ザフィーラも、ギンガもどこかでこのデスゲームを打ち破るべく行動しているはずだ。 確かに制限を受けている今の状態では満足な事は出来ないかもしれない。 だがここには自分達と同じくデスゲームを打倒する者もいる。 彼らと協力していけば光明も見えてくるに違いない。 現になのはの隣には志を同じくするペンウッドがいる。 金居の言葉を信じるなら疑わしい部分もあるが、それでもなのはにはどうしてもペンウッドが悪人とは思えなかった。 常にビクビク怯えているように見えるが、それでも卑怯な事をするような人には思えなかった。 学校を出てからずっと隣にいたから彼の雰囲気がどういうものかはある程度感じる事ができた。 それゆえの判断だった。 ヴィヴィオについては心配だが、少なくともここに連れて来られてすぐの時よりは安心できる。 それは何よりも先の放送で呼ばれなかった事が大きい。 当然ながらヴィヴィオには自分達のように自ら戦う力はない。 一応固有スキルの『聖王の鎧』が発動すれば身は安全だが、ここではそれすら制限の対象になっている可能性がある。 だから今のヴィヴィオは限りなく無力に近い子供であると思ったので、当初は一刻も早い保護を目指していた。 だがそれが果たされる事なく6時間毎に行われる最初の放送でヴィヴィオの名前は呼ばれず、無事である事が判明した。 この容赦ない会場の中でヴィヴィオがたった一人で6時間も生き延びたとは普通は考え難い。 ここは誰か頼りになる者と一緒にいると考えるのが自然であり、その状態が続けば少しは安心できる。 だが一方でどれも今の段階では希望的観測に過ぎないと言える。 もしかしたら今この瞬間にも仲間達の命は消えているのかもしれない。 そんな不安を抱えつつもなのはは心の底では皆の無事を信じていた。 ▼ ▼ ▼ 無能な海軍中将が抱く感情は『不安』。 (こ、このドラゴン、本当に大丈夫なんだろうか? 確かに一向に襲ってくる気配はないが……) シェルビー・M・ペンウッド。 それが無能な海軍中将、大英帝国円卓会議の一員の名前だ。 その横には仲間である高町なのはの姿がある。 今ペンウッドの手には龍騎のカードデッキがあるが、これは元々なのはが持っていた物だ。 それがなぜペンウッドの元にあるかというと、ケリュケイオンを渡した代わりに渡されたのだ。 曰く、自分にはデバイスがあれば十分だからこれは護身用に持っていてくれと。 当初ペンウッドはベノスネーカーの時の経験からドラグレッダーが危険ではないかと危惧していた。 だが今ではいつまで経ってもドラグレッダーが襲う気配がない事からある程度安心するようになっていた。 それでも不安は消えないが、道すがらカードデッキの中身を確認するぐらいの余裕は持てるようになった。 デッキには数枚のカードが入っていて『ADVENT』『FINAL VENT』『GUARD VENT』『STRIKE VENT』『SWORD VENT』の5種類のカードが確認できた。 しかし何が書いているかは分かるが、これがどういう役に立つかは全く分からない。 余談だが元々龍騎のカードデッキには説明書が付いていたのだが、金居の暗躍によってそれは密かに処分されてしまっている。 だからペンウッドは勿論のこと、なのはも弁慶もこのカードデッキがモンスターとの繋がりを持たせるとしか認識していない。 当然特別に課せられた恐ろしい制限――『12時間に内に契約モンスターに「生きた参加者」を一人喰わせないと所有者が襲われるようになる』など知る由もない。 (そ、そういえば私に支給されていた虎のようなマークのカードデッキもこれの一種なんだろうか? あとで金居君に聞いてみるか) ペンウッドがこの類のカードデッキを目にするのはここに来てから3度目に当たる。 1つ目は自身に支給されたタイガのカードデッキの複製、これは現在金居が持っている。 2つ目は紫髪のツインテールの少女が持っていた大蛇と犀のカードデッキ、これはおそらくあの少女が持っている。 そして3つ目が学校の校庭で見つけた龍のカードデッキ、それが今ペンウッドの手の中にある。 そんな事を考えつつ隣のなのはを横顔を見てみると、何やら深刻そうな表情を浮かべている。 (どうやらまた何か悩んでいるようだな。わ、私がしっかりと、さ、支えなければ……) ペンウッドは自分が無能で臆病だと知っている。 どう評価してもお世辞にも有能な人物とは言い難いという事も。 だからこそ二度も殺されたアリサの勇敢な行動が眩しく見えた。 もしかしてそれは思慮に欠けた行動だったと言う者もいるかもしれない。 それでもペンウッドからしてみればアリサの行動は自分よりも勇気に溢れていたように思えた。 だからそんな彼女の代わりに少しでもなれればと心のどこかで思っている。 そう思うからこそ放送を聞いても必死に迫り来る悲しみや恐怖を表に出さないようにしたのだ。 だがその態度が金居によって利用されている事にペンウッドは気付いていなかった。 ▼ ▼ ▼ 不死身の魔女が抱く感情は『困惑』。 (やはりピザは熱い方が旨い――が、こうなると出来立てが食べたくなるな。これは、悩み所だな……) C.C.。 それが不死身の魔女、素性不明の共犯者の名前だ。 今C.C.の目の前には最後の一切れとなったピザが箱の上に微かな湯気を立ち上らせながら置かれている。 その傍らには物欲しげにピザを見つめる白き龍フリードリヒの姿がある。 「なんだ、確か……フリードだったか? お前もピザが食べたいのか?」 そもそもフリードはC.C.の支給品である。 最初にデイパックを調べた時に中にいる事は知っていたが、外に出しても邪魔なだけだと思って今までデイパックの中に入れたままにしていたのだ。 しかも御丁寧に首輪まで付けられていて『参加者から50m以上離れたらこの龍の命は保障できないな』という紙まであった。 命の保障ができない云々が何を指しているかは知らないが、迂闊に外に出して本来の主を探して50m以上離れられたら厄介だ。 自分の支給品が勝手に無くなる事もあるが、もし死ぬような事になれば寝覚めが悪い。 それがなぜ今頃になって外に出されているかというと、理由は単純で、単に話し相手がいないからだ。 デスゲーム開始からずっと行動を共にしていたゼストは今ここにはいない。 だからと言って愛想を尽かされた訳でもなく、喧嘩別れした訳でもない。 ただ単に別行動中なだけだ。 C.C.が提示した黒の騎士団専用車両の有用性。 それを聞いたゼストはとりあえずC.C.と商店街に着いた後に一足早くそこへ向かって行ったのだ。 本来ならC.C.も共に行く方が良いのだが、あいにくC.C.はそれよりも先に朝食のアツアツのピザが食べたかった。 それにブリッツキャリバーを使えばC.C.は無理だがゼストだけなら大幅に移動時間を短縮できる。 だからゼストだけが誰かに先を越されないためにも黒の騎士団専用車両がある場所まで先行する事になったのだ。 そして商店街に残ったC.C.が入口付近にあった家電量販店に置いてあった電子レンジでピザを温めて今に至る。 温めたピザは冷めたピザよりも何倍も美味しく、あっという間に最後の一切れにまでなっている。 その最後の一切れも今まさに物欲しそうにしているフリードの目の前でC.C.の口の中へ消えていった。 (しばらくピザも食い納めか。もう少し味わって食べておくべきだったかな。 そういえば学園祭の時の巨大ピザは実に残念だった、まさか土壇場であんなハプニングが起こるなんて…… アッシュフォード学園……あいつにはああ言ったが、なぜスバルはあの学園に……) ふと思い出すのは最近よくルルーシュと一緒にいるようになった青い短髪のボーイッシュな少女スバル・ナカジマ。 少し前にアッシュフォード学園に転入してきた少女で、事実ゼストにはそのように説明していた。 だがスバルに関してC.C.が知っている事はまだある。 それはスバルが「自分達の世界とは別の世界から来た」という事だ。 あとはショックイメージを見せる事は出来るが、ギアスは効かないという事ぐらいだ。 だからと言って別にゼストを騙したというつもりはなく、ただ提示する情報を絞っただけという気でいる。 ゼストにその事を伝えなかったのはギブアンドテイクでそこまで話すには至らないと考えたからだ。 (確か……時空管理がどうとかと言う所のスターズ分隊の陸士だったか? もしかして嚮団の手の者、の可能性はないな。 さすがに私でも別世界の事はよく分からないからどうしようもないか。そういえばスバルの名を言った時のあいつの反応……) 数時間前にお互いの知り合いを教え合った時にC.C.がスバルの事を話した時のゼストの反応。 あれはどう見てもゼストもスバルを知っているかのようだった。 しかもおそらくあの驚きようからすると、ゼストの知るスバルは学生ではないのだろう。 そうなるとスバルはゼストと同じ世界の住人、そして何か理由があって学生をしている可能性が高い。 だがいくら考えても確かな事は分からない。 これ以上は寧ろゼストに直接聞いた方が早い。 とりあえずC.C.は少し詮索を中断して別の事に取りかかろうとした。 「さてと、あいつが帰ってくるまでもう少しこの辺りを調べておくか」 『キュクル~』 「なんだ、お前も手伝ってくれるのか?」 『キュックルー』 「そうか、そうか。ぜひ手伝わせて下さいと言うのか」 『キュックル~』 「ま、本当は何を言っているか全く分からないんだが……別にいいか。お前が私の支給品である事に変わりは――ん?」 ふと表の方から誰かの話し声が聞こえてきた。 おそらく誰かが商店街に来たのだろう。 念のためここの場所が特定されないために商店街にある全店舗の電気は到着してすぐに点けっぱなしにしておいた。 木を隠すなら森の中という事だ。 一応無灯火という選択肢もあったが、さすがに電気を点けないと日の光があるとはいえ若干薄暗く、なにより暗くてはピザが美味しくないという理由もあった。 「二人組か? あいつはまだ帰って来ないようだな」 C.C.は悩む。 心の中で「どう対応するか」という微かな『困惑』を抱いて。 【1日目 午前】 【現在地 C-3 商店街の家電量販店内】 【C.C.@コードギアス 反目のスバル】 【状況】健康、スバルへの疑念 【装備】スティンガー×10@魔法少女リリカルなのはStrikerS、フリードリヒ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式、ランダム支給品0~1(確認済み) 【思考】 基本:向かってくる者は殺すが、役に立ちそうな物や人材はルルーシュに届ける。 1.外の二人への対応を考える。 2.商店街で役に立ちそうなものを探す。 3.ピザの対価を払う方法を考える。 【備考】 ※スバルが『StrikerS』から来た事を知りません。 ※ゼストとの協力関係はギブアンドテイクという暗黙の了解の上に成り立っています。 ※「ギアス提供」「精神干渉」「Cの世界との交信」が不可能となっている事に気付きました。 ※再生能力も制限されている可能性があると考えています。 ※このデスゲームの中では死ぬつもりはありません。 ※プレシアのことは信用していません。 ※ゼストにはルルーシュの駒になってもらおうと考えています。 ※参戦時期は「STAGE9 ギ ア ス」(スバルを気絶させた後)からです。 ※スバルとゼストは同じ世界の住人かもしれないと考えています。 ※オリーブ抜きのピザ(10/12サイズ)は完食しました。 ▼ ▼ ▼ 「こ、ここが商店街……だが、なんで電気が全部点いて?」 「たぶん誰か先客がいたんでしょうね、もしくはまだいるのか」 なのはとペンウッドが商店街に着いて真っ先に目に付いたのがあちこちから漏れる光だった。 ここに来るまで見てきた建物はどれも電気は点いていなかったので普段は当然の光景でも奇妙に見えてしまう。 元からこうなのか、既にここに来た人の仕業か、それはまだ分からない。 しかもまだエリアサーチも掛けていないので今ここに参加者がいるのかも分からない。 なのはとペンウッドは悩む。 心の中で「誰かいるのか」という微かな『不安』を抱いて。 【1日目 午前】 【現在地 C-3 商店街入り口】 【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】健康、プレシアに対する怒り、悲しみと迷い、軽い不安 【装備】グロック19(14/15+1発)@リリカル・パニック、すずかのヘアバンド@魔法少女リリカルなのは、ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式 【思考】 基本:誰の命も欠かす事無く、出来るだけたくさんの仲間を集めて脱出する。 1.なんとしてもヴィヴィオを救出する。それは何よりも優先したい。 2.商店街を経由して施設を巡りつつ工場へ向かい、首輪を解除する手がかりを探す。 3.出来る限り全ての戦えない人を保護し、仲間を集める。 4.情報処理室の事、言いそびれたな。 【備考】 ※金居を警戒しています。また紫髪の女子高生(柊かがみ)を気に掛けています。 ※カードデッキの説明書を読んでいないので、その特性について把握している情報は「契約モンスターを呼べる」事くらいです。 ※金居の話=『ペンウッドは銀色の奴と手を組んでいる可能性がある』は半信半疑です。 【シェルビー・M・ペンウッド@NANOSING】 【状態】健康、若干の不安 【装備】カードデッキ(龍騎)@仮面ライダーリリカル龍騎 【道具】支給品一式×3、RPG-7+各種弾頭(榴弾5/照明弾2/スモーク弾2)@ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL、トランシーバー×2@オリジナル、菓子セット@L change the world after story、おにぎり×10、ランダム支給品(未確認1~2) 【思考】 基本:自らの仕事を果たす。 1.商店街を経由して施設を巡りつつ工場へ向かい、首輪を解除する手がかりを探す。 2.この龍は本当に大丈夫なんだろうか? 3.アリサという少女の思いは無駄にしてはいけない。 【備考】 ※なのはを支える事が今の自分の仕事だと無意識に思っています。 ▼ ▼ ▼ 蘇った騎士が抱く感情は『困惑』。 (一足遅かった、ここはもぬけの殻か) ゼスト・グランガイツ。 それが蘇った騎士、愛する者を取り返さんとする死者の名前だ。 今ゼストの目の前には空になった車庫があるだけだ。 本来ならここには黒の騎士団専用車両が設置されていたのだが、車両は既に数時間前にLとザフィーラが発見していた。 そしてそれに乗って南へと移動したのだが、さすがにゼストには車両がどの方角へ行ったかまでは分からなかった。 当初の予定が狂った事でゼストは現在少々困惑していた。 そして車両の件とは別にゼストには不可解に思う事があった。 (それにしても、なぜヴィータは名前を呼ばれなかったのだ?) そもそもゼストはここに呼ばれる直前スカリエッティから一つの指令を受けていた。 聖王教会も加担しているベルカ解放戦線による時空管理局に対する反乱。 その一手であるシャッハ率いるベルカの騎士団及び傀儡兵によるミッドチルダへの侵攻。 それは聖王のゆりかごの出現と相まって動揺する管理局側が後手に回った事、さらに超大型傀儡兵<ヨツン>の投入によって半ば順調に進められた。 だが守護騎士や陸士部隊の奮闘、最大脅威であった<ヨツン>が抑え込まれた事、そして指揮官シャッハの戦死によって戦況は一変。 ベルカ解放戦線による反乱の第一波であるミッドチルダ侵攻はこうして失敗に終わった。 そしてゼストに与えられた指令とは、その<ヨツン>に組み込まれたロストロギア・ジュエルシードの奪回であった。 元々そのジュエルシードはスカリエッティが聖王教会に渡した物らしいが、ゼストにはそのような事はどうでもよかった。 ゼストにとって重要であったのは、その任務を遂行すればメガーヌ・アルピーノが解放されるという事だ。 それはゼストの目的、愛する女性を解放するという目的が果たされる事になる。 だからこそゼストは絶対なる覚悟と決意を以て槍を振るったのだ。 結果的にジュエルシードの奪回は無事に成功した。 あとはスカリエッティの元へ届ければ己の願いは叶うだけのはずだった。 そこでゼストの意識は途絶え、気づいた時にはこのデスゲームに巻き込まれていた。 ここで不可解な事がある――ヴィータだ。 ゼストはジュエルシード奪回の際にヴィータとシグナムの二人と刃を交えている。 そして交戦の末に両者に戦闘続行不可能な程の負傷を負わせている。 シグナムの方は左腕をほぼ寸断して満足に戦える状態になっている。 だから先の放送でシグナムの名前が呼ばれても別に驚きはしなかった。 問題はヴィータの方だ。 ヴィータが負った傷はシグナムの比ではない。 心臓部分を背中から正面に向けて完全に貫いていた。 あれでは戦闘続行どころか即急に本格的な治療を行わなければ死んで当然であったが、結局ヴィータの名前は呼ばれなかった。 それはつまり今もまだヴィータがこの会場内のどこかで生きているという事だ。 どう考えてもありえない。 あの状態で助かるとすれば運良く治療効果の高い道具が支給されたか、もしくはその類の道具を持っている参加者と出会ったか。 だが自分にC.C.の好物のピザが支給されていたとはいえ、どちらも都合が良すぎるし、わざわざ重傷者を連れて来る意味が分からない。 そうなると考えられる可能性は限られてくる。 (おそらくプレシアが何か手を出したか? あらかじめ傷を治した上でここに放り込めば……もしや治療を条件に何か約定を……) そう考える方がまだ筋が通っている。 もちろんあの忠義に厚い守護騎士がプレシアの甘言に心動かされるとは思えないが、瀕死の重傷を治療してもらった恩義もあるのかもしれない。 あまり納得はいかないが、義に厚い騎士道を重んじるベルカの騎士であるならそのように考えても仕方ない面もある。 そしてもう一つ不可解な事は名簿に記された一人の名前――スバル・ナカジマだ。 ゼストが知るスバルは数年前の事件で死亡した自身の部下クイント・ナカジマの娘であり、今は記憶を改竄されて『スバル』としてスカリエッティの元にいるはずだ。 そのスカリエッティがクイント死亡の一因である辺り、何とも言えない心情ではある。 これらの事はスカリエッティが興に任せて話したり、アジトでナンバーズに混じっている所を見かけたり、そのような所から断片ながら知っている。 余談だが高町なのはやルーテシアに関する断片的な情報も主にスカリエッティ伝手の情報である。 ここで不可解な事は名簿に記された名前が『スバル』ではなく『スバル・ナカジマ』である事だ。 『クアットロ』『チンク』『ディエチ』とナンバーズが明記されている以上スバルも『スバル』もしくは『トレディード』と書かれて然るべきはずだ。 しかもこの表記では下手をすればスバルの記憶が蘇る可能性もある。 だがこの判明しているデスゲームの主催者はプレシア・テスタロッサであるからして、こういう事があっても不思議ではない。 しかしその一方でわざわざ記憶が戻るような一手を打つ意味も分からない。 「これ以上は考えても埒が明かん。一度戻って……また、愚痴を言われるだろうな」 わざわざ一人先んじて向かったにもかかわらず、件の車両は既に誰かが乗って行った後だった。 ゼストに非が無いとは言うものの、あのC.C.なら愚痴の一つや二つぐらい零すだろう。 予想される愚痴に少々僻遠しつつもゼストが周囲の様子を探るべく視線を巡らせた時、何か動くものが目に入った。 「あれは!」 ゼストの視界の端に映った者。 それは北の方角へと走って行く人影であった。 一瞬の事で定かではなかったが、黒いコートを羽織っていたようだ。 ゼストは知らないが、その人影の正体はスーパーでベルデのカードデッキをかがみに押しつけて逃げてきた万丈目準であった。 もちろんゼストは万丈目と面識はないし、第一に既にかなりの距離が離れている。 ブリッツキャリバーを使えば追いつけない距離ではないが、商店街に残したままのC.C.も気掛かりではある。 「…………」 ゼストは悩む。 心の中で「どう対応するか」という微かな『困惑』を抱いて。 【1日目 午前】 【現在地 C-2 黒の騎士団専用車両車庫前】 【ゼスト・グランガイツ@魔法少女リリカルなのは 闇の王女】 【状態】健康 【装備】ブリッツキャリバー(待機状態)@魔法妖怪リリカル殺生丸 【道具】支給品一式 【思考】 基本:高町なのはの捜索・抹殺、プレシアの抹殺、ルーテシアの保護。 1.北の人影を追うか、商店街に戻るか。 2.商店街で役に立ちそうなものを探す。 3.行動を共にする仲間を増やす(市街地は危険そうなので武装が整うまでは基本的に避けたい)。 4.なのはと戦う事になればギア・エクセリオンの発動も辞さない――己の命を削ってでも。 【備考】 ※なのはとルーテシアが『健全な』歴史(StrikerS)から来た事を知りません。 ※C.C.との協力関係はギブアンドテイクという暗黙の了解の上に成り立っています。 ※ギア・エクセリオンによる負担の程度は不明(ゼストは自分のデバイスのフルドライブ同様に命を削る可能性もあると推測)。 ※プレシアにはスカリエッティと同等かそれ以上の技術があると思っていますが、プレシアを全く信用していません。 ※幕間「修羅のように」(シグナムを倒した直後)からの参戦です。 ※ヴィータとプレシアの間で何らかの約定があったかもしれないと考えています。 ※スバルが『スバル・ナカジマ』の名前である事に疑問を抱きました。 ▼ ▼ ▼ いくつも感情が入り乱れた果てに生まれる新たな感情とは、いったいどんなものであろうか。 そして、さらに一つの感情が商店街に渦巻いている。 『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――――――――――』 来るべき時が迫っている事に勘付いて、それは人知れずに咆えていた。 無双龍ドラグレッダー。 彼の炎龍に課せられた忌まわしき制限の刻限まであと僅か。 猛き炎の龍が抱く感情は『 』。 Back 暇をもてあました神々の遊び 時系列順で読む Next Burning Dark(前編) Back 今は小さく頼りないこの手も 投下順で読む Next Burning Dark(前編) Back Round ZERO ~ SAWS CUNNING(後編) 高町なのは(StS) Next Alive a life ~タイムリミット(前編) Back Round ZERO ~ SAWS CUNNING(後編) シェルビー・M・ペンウッド Next Alive a life ~タイムリミット(前編) Back 空腹の技法 C.C. 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ゲーム名 魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE DLマガジン デジタルなのは (→ソフトカタログへ) 対応フォーマット PSP CERO B ジャンル バラエティコンテンツ集 プレイヤー人数 オフライン 1人 販売価格等 各号800円 容量 32MB以上 配信開始日 2010/02/16 体験版 無し 備考/PSN等 ゲームが無くてもプレイ可能毎号800円で6回配信予定 対応周辺機器 映像出力 音声出力 販売元 バンダイナムコゲームス 開発元 まとめサイト 魔法少女リリカルなのはA’s PORTABLE THE BATTLE OF ACES 攻略Wiki 関連スレor板 携帯ゲームソフト【PSP】魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE Part21 追加コンテンツ コンテンツ名 販売価格 容量 配信日 追加内容 デジタルなのは カタログバインダー 無料 32MB 2010/02/16 各号の利用に必要 デジタルなのは 第一号 800円 25MB 2010/02/16 デジタルなのは 第二号 800円 77MB 2010/03/26 デジタルなのは 第三号 800円 104MB 2010/04/27 デジタルなのは 第四号 800円 24MB 2010/05/28 デジタルなのは 第五号 800円 25MB 2010/06/25 デジタルなのは 第六号 800円 18MB 2010/07/29
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魔法少女リリカルBASARAStS ~その地に降り立つは戦国の鉄の城~ プロローグ 自分は今、戦場にいる。 戦場とはいっても四角い土俵に立ち、周りには観客がいる。誰が開催したかは知らないが自分は「第二回婆沙羅大武道会」という大会の土俵の上にいる。 いつの間にか決勝戦だ。この試合に勝てば100万石が手に入るという。心なしか我が主の声援も力が入っている。 相手は三日月の鍬形をした兜に蒼き鎧。手に持つは六本の刀。もう一人は前者とは対なるように上半身裸に赤いジャケット。そして手には二本の槍。二人ともこちらに殺気を放ってくる。 一方、自分が手に持つは巨大な槍。先端が回転する槍だ。 世間では自分が持つこの槍のことを「ドリル」と呼ぶ者がいる。関係ない話なのだが。 「試合・・・開始!!」 この騒ぎの中でも審判の試合開始を告げる声がはっきりと聞こえた。 その瞬間二人は自分へと迫る。自分も負けじと槍を構え、横に振るう。彼らは当然のごとく避けた。こんな攻撃が当たらないのはわかっている。 すばやく槍をまた横に振るう。矛先は蒼い鎧の武士。その武士は槍の一撃を受け、かなり後方まで吹き飛ばされる。 次は縦一直線の振り下ろし。次の矛先は赤き武士。しかしその攻撃は防御される。さすがに驚いた。自分の一撃を防御しきれた者を見るのは初めてだ。 「Hey!!敵は一人じゃねぇぜ!?」 後方が異様に暗い。振り向くと先ほどの蒼い鎧の武士が低く構えている。腕が蒼白く光り、稲妻が走っている。 「Hell dragon!!」 腕を前に突き出すと自分の身長ほどもある稲妻の球が迫ってきた。回避行動や防御行動も間に合わず当たってしまった。 体が、浮いた。決して揺らぐことのなかった自分の体が今、宙に舞っている。 硬い土俵の感触を味わうのを許さないがごとく、赤き武士が自分が着地する地点に立っていた。 「千両花火ぃぃ!!」 一つに連結した槍の一撃が顔面に当たる。数回宙で回転してから自分の体が地に落ちた。 その瞬間、自分の中の「青い目盛りみたいな何か」が満タンになったのを感じた。 自分の体を起こし、槍を地面に思い切り刺した。その衝撃で二人の武士は宙に浮く。 自分も宙に浮き、背中から円陣を形成する。 円陣の漢字の一文字が光り、回転を始める。次第に回転が速くなる。 「終わりにしろ!!○○!!」 自分の名を叫ぶ主。無論、そうするつもりだ。主よ、もうすぐその手に巨万の富を掴ませて差し上げます。 だが、異変は起こった。 地面がない。 それは自分の周囲だけであった。しかし皆も突然のことに唖然とする。 自分はこんな地面を無くすほど強大な力を持った覚えはないし、主から聞いたこともない。 地面がなくなったことによって生じた穴は大きくなる。 そして二つ目の異変に気づく。 自分がその「穴」に引きずりこまれている。 どんなに離れようと力を振り絞ってもその穴からは離れられない。 逆にどんどん引き込まれていく。 思わず天に手を伸ばす。しかしその手を掴む者はいない。 「○○!!○○!!」 必死に助けに行こうとするがほかの家来に制止されている主。ああ、あなたに巨万の富を掴ませることができなくて自分が許せません。 こんなところで終わるのだろうか。主、申し訳ございませんでした。 「○○!!」 どんどん遠くなっていく主の声。そして目の前も暗くなり始めた。 しかし、意識が無くなる前に、自分の名前をはっきりと呼ぶ主の声が聞こえた。 「忠勝!!行くな!!忠勝っ!!」 これでお別れかもしれませんね。さようなら、主。 「ただかぁぁぁぁぁぁぁぁぁつっ!!」 目次へ 次へ
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Fast Card E.G.O. 3F/2C 目標/持続 インヒューレントスキル 目標の≪パーマネントカード1枚≫を捨て札する。その後、このカードのコストが戦闘機人を持つブレイクしている“スバル・ナカジマ”からのみ支払われている場合、目標のオーナーにXダメージを与える。Xは目標のコストに等しい。 No.EX0464 Rarity UC Illustrator 緋賀ゆかり Expansion エキストラエクスパンション 魔法戦記リリカルなのはForce カード考察
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訓練を終えたティアナは、珍しく訓練場に姿を現した機動六課部隊長である八神はやてを発見した。 「あれ、珍しいね。はやてちゃんがここに来るなんて」 なのはも首をかしげている。 当のはやてはというとはたから見てはっきりわかるくらいニヤニヤしている。 この人がこういう顔をしているという事はろくな事ではないだろう。 そう考えていたフォワード陣にはやてが切り出した。 「なぁみんな、今日はなんの日か知っとる?」 首をかしげる5人。 今日は特に休日でもないし、六課内におけるイベントがあるわけでもない。 お正月でもなければクリスマスでもなく、バレンタインデーでもなければ母の日でもない。 誰かの誕生日だろうか? 考えたが心当たりのある人はいない。 はやての問いに悩んでいると訓練所の待機室の方からヴァイスの爆笑と 笑いをこらえ切れていないジルグの声が聞こえた。 「え、何?」 「ジルグさんが声を出して笑うなんてよっぽどのことですよね」 スバルとエリオが怪訝な声をあげる。 それを聞いていたティアナの顔が一瞬引き攣り、徐々に青く変色してゆく。 「ふっふっふ……ティアナは気づいたようやね…… そう! 今日は六課の新たなアイドル、ティアナ・ランスターの雑誌デビューの日や!!」 「イヤアアアアァァァァァァァァァ!!!」 頭を抱えて叫び、いざ原因の雑誌を排除しに向かおうとするティアナにはやてが声をかける。 「あ、ちなみになんか10部くらい届いとるから。 もう六課中に出回っとるで」 はやての言葉に固まるティアナ。 「ほらこれ」 はやてが取り出した雑誌の表紙には…… メイド服姿で微妙に頬を赤らめてムスっとした顔のティアナと 『あっ、あたしはあんたに”お帰りなさいませご主人様”だなんて言ってあげないんだからね!』 という煽り文がデカデカと載っていた。 撮影の時、不機嫌な顔をしても特に何も言われなかったからそのままだった。 それにさすがにあの格好で写真を取られるのは恥ずかしい。 それが顔色に出ていたのであろうが…… 「うわ~、ティア可愛い~!!」 呑気な声をあげるスバル。 ちょっとだけティアナはスバルに対して殺意を抱く。 「いいな~、これでティアナもミッドチルダの有名人だね!」 なのはさん、ちょっと後でお話しましょう。 有名人は有名人でもこんなことで有名になりたくない。 微妙に顔を赤らめてそっぽを向いているエリオ。 あんたそういう趣味だったの…… キャロは生暖かい笑顔をこちらに向けている。 もうやだ、死にたい。 「なんと5ページに渡って紹介されとるで。 機動六課の宣伝もばっちりや!」 このタヌキ……いつかタヌキ汁にしてやる。 後日談だが『機動六課のツンデレメイド少女』として雑誌の購読者から絶大な支持を得てしまったティアナは 再び取材の要請を受けるが、断固として拒否したため この創刊号はマニアの間でプレミア価格で取引されたという。
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訓練を終えたティアナは、珍しく訓練場に姿を現した機動六課部隊長である八神はやてを発見した。 「あれ、珍しいね。はやてちゃんがここに来るなんて」 なのはも首をかしげている。 当のはやてはというとはたから見てはっきりわかるくらいニヤニヤしている。 この人がこういう顔をしているという事はろくな事ではないだろう。 そう考えていたフォワード陣にはやてが切り出した。 「なぁみんな、今日はなんの日か知っとる?」 首をかしげる5人。 今日は特に休日でもないし、六課内におけるイベントがあるわけでもない。 お正月でもなければクリスマスでもなく、バレンタインデーでもなければ母の日でもない。 誰かの誕生日だろうか? 考えたが心当たりのある人はいない。 はやての問いに悩んでいると訓練所の待機室の方からヴァイスの爆笑と 笑いをこらえ切れていないジルグの声が聞こえた。 「え、何?」 「ジルグさんが声を出して笑うなんてよっぽどのことですよね」 スバルとエリオが怪訝な声をあげる。 それを聞いていたティアナの顔が一瞬引き攣り、徐々に青く変色してゆく。 「ふっふっふ……ティアナは気づいたようやね…… そう! 今日は六課の新たなアイドル、ティアナ・ランスターの雑誌デビューの日や!!」 「イヤアアアアァァァァァァァァァ!!!」 頭を抱えて叫び、いざ原因の雑誌を排除しに向かおうとするティアナにはやてが声をかける。 「あ、ちなみになんか10部くらい届いとるから。 もう六課中に出回っとるで」 はやての言葉に固まるティアナ。 「ほらこれ」 はやてが取り出した雑誌の表紙には…… メイド服姿で微妙に頬を赤らめてムスっとした顔のティアナと 『あっ、あたしはあんたに”お帰りなさいませご主人様”だなんて言ってあげないんだからね!』 という煽り文がデカデカと載っていた。 撮影の時、不機嫌な顔をしても特に何も言われなかったからそのままだった。 それにさすがにあの格好で写真を取られるのは恥ずかしい。 それが顔色に出ていたのであろうが…… 「うわ~、ティア可愛い~!!」 呑気な声をあげるスバル。 ちょっとだけティアナはスバルに対して殺意を抱く。 「いいな~、これでティアナもミッドチルダの有名人だね!」 なのはさん、ちょっと後でお話しましょう。 有名人は有名人でもこんなことで有名になりたくない。 微妙に顔を赤らめてそっぽを向いているエリオ。 あんたそういう趣味だったの…… キャロは生暖かい笑顔をこちらに向けている。 もうやだ、死にたい。 「なんと5ページに渡って紹介されとるで。 機動六課の宣伝もばっちりや!」 このタヌキ……いつかタヌキ汁にしてやる。 後日談だが『機動六課のツンデレメイド少女』として雑誌の購読者から絶大な支持を得てしまったティアナは 再び取材の要請を受けるが、断固として拒否したため この創刊号はマニアの間でプレミア価格で取引されたという。
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機動6課の主力メンバーが、 でっている頃、 機動6課は、ナンバーズに襲撃されていた それは、やはりあのもの仕業か? 集長の一言 奇襲が、酷すぎです 大丈夫なんでしょうか? 機動6課は 映像は、こちら(消失の場合は、連絡の事 魔法少女リリカルなのはStrikerS ep16 part 1 魔法少女リリカルなのはStrikerSサブタイトルへ戻る